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森組芝居 2017年2月8日(水)〜12日(日) 「記憶のパズル」公演予定

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加藤 ひろき

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プロフィール

かとう ひろき
 文学座附属演劇研究所54期本科修了
 現在フリーランス
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加藤 ひろきの「記憶」


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横浜みなとみらいは、

僕にとって大切な「記憶」が宿る場所の一つです。


2014年3月のその日は、専門学校の卒業式でした。

その頃の僕は途方に暮れておりました。唯一受験した劇団研究所からは不合格の通達を受け、卒業後の行く当てもなかった為です。

人生の節目となる一日を迎えてはしゃいでいる同級生達を遠巻きに眺め、「明日からどうなるんだろう」という不安で僕の気持ちは優れませんでした。


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卒業式典はパシフィコ横浜の国立大ホールで行われました。


これからの心配をしなくてはならない僕にとって、会場で椅子に座って話を聞くだけの時間を有意義に感じることはできません。早く次の居場所を見つけなくてはならないと、そればかりに意識が席巻されていました。


式典が終わると、学校の校舎に移動して卒業証書の授与が行われます。

学校へは電車移動になるため、大勢の生徒が桜木町駅へと移動を始めました。クイーンズスクエア、ランドマークプラザを通過する少々長い道のりで、僕の足取りは鈍重だったことでしょう。

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と、ランドマークプラザを抜けて桜木町駅までの動く歩道まで差し掛かった時、電源を切っていた僕の携帯電話に着信があったことに気がつきます。電話帳に登録のない、見知らぬ番号でした。


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確かに記憶しておりますが、僕はこの場所に立って海の方を眺めながら、かかってきた番号に折り返し電話をしました。電話に出た相手は、僕の受験した劇団研究所の方でした。


「合格者から辞退者が出たため、貴方の繰り上げ合格が決まりました」


そんな旨の用件でした。

僕はすぐ様一旦電話を切らせていただき、両親から了承を得て、再度先方によろしくお願いしますとの返事をしました。その時、僕は自分の心にのしかかっていた重苦しいものが吹き飛んで、世界が明るく、清々しい気分になるの を感じました。


あまりにも嬉しかった僕は、電話が終わると駆け出してしまいました。急いでどこに向かうつもりがあったという訳ではありません。

人は気分が高揚しすぎると、そうなるのだと思います。

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動く歩道の隣の歩道、ここを思い切り走ったのを覚えております。

その日の空も、その時の僕の心と同じで綺麗に澄み渡っていました。


時に、僕はここに来ると、その事を思い出します。太陽はどこまで昇っていたのか、風は吹いていたのか、暖かかったのか寒かったのか、そんな事まで蘇りはしません。

しかし、確かに、この場所に僕の大切な記憶が宿っていることを思い出せるのです。


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僕もあれから、更に様々な体験を経ました。挫折や 苦渋を味わったこともあります。

あの頃と同じ物を眺めても、あの頃と全く同じに感じることはできないと断言できます。当時と今では、心に積み重なった記憶が違うからです。


しかし、それでもあの場所を訪れて、あの時を振り返ることに意義はあると思います。当時と比較して、現在の自身を再確認できる。

思い出は、心を豊かにしてくれます。


『記憶のパズル』を通じて、僕はまた新しい記憶を人生に積み重ねるでしょう。その記憶が、また新しい世界の見え方を僕に与えてくれることに感謝いたします。



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